■脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳の血管が細くなるか閉塞した結果、血流障害が生じて、その血管によって
養われている脳が壊死にいたる病気です。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による死亡率は
がんなどの悪性新生物、心疾患に次いで第3位となっています。
■脳梗塞の原因
◇脳血栓症
脳血栓症は血管が動脈硬化を起こし、内側がだんだんと狭くなり詰まることにより発症します。
症状がゆっくり進行し、数日たって完成する場合があります。
高血圧症、糖尿病、高脂血症、喫煙などが危険因子となって、脳の太い血管の内側が弱くなって
くると、悪玉コレステロールなどの沈着が発生します。
その結果、内膜が肥厚して、動脈硬化が形成されます。これをアテローム性動脈硬化症と
呼びます。この動脈硬化が脳の動脈や頚部動脈に生じ、狭小化した部分に血栓(血のかたまり)が
形成されて脳梗塞をきたします。これが脳血栓症(アテローム血栓性梗塞)です。
発症は緩やかで、数時間から数日にかけて進行します。動脈の狭窄がゆっくり進みますので、
周辺の動脈からの血液の流入が生じることが多く、太い血管が閉塞したにもかかわらず症状が
軽いことが特徴です。
◇脳塞栓症
脳塞栓症は心臓や大血管で血栓ができ脳まで血栓が運ばれて脳の血管に詰まることにより発症します。
突然症状が出現し脳血栓症よりも一般的に重症と言われています。
心臓弁膜症や心房細動など心疾患があると、心腔内に血栓が生じやすくなります。
この血栓がはがれて脳動脈内に流入し、脳動脈を閉塞する結果、脳梗塞が発生します。
正常な動脈が突然閉塞されるので、症状も突然出現します。また血栓が溶解して再開通され、
梗塞(壊死した脳細胞)内に出血が生じることもあります。脳血栓症(アテローム血栓性梗塞)と異なり、
脳塞栓症は突然発症し、数分以内に症状が完成します。大梗塞の発生の可能性も高く強い意識障害が
生じることがあります。
◇ラクナ梗塞
ラクナとは、小さな空洞という意味です。脳の深部に向かう細いが閉塞して生じた小さな脳梗塞が
ラクナ梗塞です。一般的にはある程度の年齢を超えた方には誰にでもあるものですが、年齢的に見て
平均よりかなり多い場合や若年者でラクナ梗塞がある場合は要注意となります。
◇一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞の症状が出現しても24時間以内に症状が消失することがあります。
これを一過性脳虚血発作(TIA)と呼び、多くは数分以内に症状が完成し、数分持続して消失します。
一過性脳虚血発作(TIA)はすぐに治ってしまいますが、TIAの後に高率に完成された脳梗塞が発生
することが知られています。
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の発生をあらかじめ知らせてくれる大切な症状です。
■脳梗塞の症状
・めまい感
・脱力感
・しびれ感
・一肢あるいは身体の片側の麻痺
・顔の片側の弛緩
・頭痛
・不明瞭な話し方
・一時的な記憶障害
・視覚の部分的消失や複視
◇ある患者さんの事例
56歳の男性の方が、自宅で急に手の痺れを自覚しました。
変だなとは思いつつも、そのままの生活を続けているとやがて症状は改善したので
そのまま何事もなく暮らしていました。それから数日後、職場でまた同じような症状が。またか、
と思いつつ気にしないでいると、帰宅後に半身の麻痺が出現し緊急入院となりました。
この場合はすでにTIAという形で危険信号が出ていました。
TIAは一時的な症状でその後何も起こらない可能性も確かにありますが、それは誰にもわからない事です。
幸い大事に至らず、リハビリを行い社会復帰はされましたが、必ずしもそういうケースばかり
とは限りません。
しびれや麻痺などの症状が現れたときには、それが脳梗塞の症状なのか一過性脳虚血発作の症状
なのかを検査する必要があります。
スポンサードリンク


