髄膜とは頭蓋骨と脳の間にあって脳を保護する役目をしている膜です。詳しく言えば
髄膜は3枚の膜、すなわち、脳に近いほうから軟膜、クモ膜、硬膜からなっていて、
この軟膜とクモ膜との間にクモ膜下腔というスペースがあり、脳脊髄液という
栄養たっぷりの液体がたまっています。この髄膜に細菌やウイルスがつくと髄膜炎に
なります。髄膜は脳を被っている膜ですので、脳炎と紙一重の状態になっています。
■髄膜炎の原因
髄膜炎は大きく分けて無菌性(ウイルス性)髄膜炎と化膿性(細菌性)髄膜炎に
分けることができます。髄液を腰からぬいて培養し(腰椎穿刺)、原因の細菌が
見つかると化膿性髄膜炎といい、細菌が見つからないと無菌性髄膜炎と呼んでいますが、
無菌性髄膜炎のほとんどがウイルス性の髄膜炎と考えられます。
■髄膜炎の症状
発熱、頭痛、嘔吐が3大症状です。また、診察すると首の硬直もみられます。
意識の低下や、けいれんを起こしたりすると髄膜炎からさらに脳炎を起こしている
ことが強く疑われます。
■髄膜炎の治療
入院にて安静にし、ウイルス性髄膜炎の場合は嘔吐や頭痛で水分がとれない場合には
点滴をします。細菌培養の結果が判明するまで抗生剤を使うこともあります。
細菌性髄膜炎の場合は抗生剤の点滴を中心に治療します。
■髄膜炎の予後
純粋な髄膜炎だけで終われば後遺症はほとんどないと考えられますが、軽くても
脳炎になってしまうと後遺症を残す可能性が考えられます。脳と髄膜は接しているので、
脳炎の可能性は常に考えておかなければなりません。ウイルス性髄膜炎の場合でもまれに、
学習障害、てんかん、難聴などの後遺症を残す場合があります。細菌性の場合は
これらの率がより高くなります。外見上完全によくなった場合でも、脳波などの
定期検査をお勧めします。